東京の街の“ローカルエキスパート”が、仕事の合間に一息つけるスポットやイベントを紹介します。東京の街の“ローカルエキスパート”が、仕事の合間に一息つけるスポットやイベントを紹介します。
2025年8月下旬以降のオープンを目指して「小さくても善いもの」の提供を志す「シネマリス(CineMalice)」が、クラウドファンディングを始めました。
シネマリスは、神保町・お茶の水エリアに誕生を予定しているミニシアター。2023年から物件を探し始め、Xに「シネマリス|ミニシアターを創る」というアカウントで、ミニシアターを建設する上でクリアしなければならない法令上の問題など、映画館作りの過程をつぶさに発信してきました。
現在の概要によると、総座席数は130席程度を予定。横浜の「シネマ ジャック&ベティ」のように2スクリーンを備え、「シアター1」では新作ロードショーや特集上映、「シアター2」では準新作や旧作を上映します。
シアター2では、「サブスク制」を導入。月額2500円(以下全て税込み)あるいは、年額2万2000円を支払うと、サブスクリプション対象作品の準新作などが見放題になります。1カ月で観られる本数は4〜6本。年間に上映される全作品を鑑賞すれば1本当たり500円以下になり、好きな映画は何度でも楽しめます。
映画館のサブスクリプション制は、ドイツやフランス、アメリカでも近年導入され始めている映画の新しい鑑賞スタイルです。日本では、入居していたビルが建て替えのため閉館を余儀なくされた飯田橋の「ギンレイホール」が、年会費を払えば公開作品が1年間見放題になる会員システムを採用していました。
シネマリスの副支配人に就任予定の藤永一彦は、「シネ ヴィヴァン六本木」やギンレイホールで長らく映画館の運営に携わった人物。一方、支配人の稲田良子は、映画業界とは無縁の会社員生活を送ってきました。
ギンレイホールでは観客席に座っていた稲田ですが、それが閉館し、同じように通っていた「岩波ホール」も閉館していく中、新たに生まれるミニシアターもあり、次第に自分でもやってみたいと思うようになったといいます。
「無謀な挑戦は止めたほうが良いという賢者の助言も頂きましたが、日増しに映画館を開業したいという気持ちが募り、これまでの全てを投げ打ってでも、映画館の運営に第二の人生を捧げる決意をしました」
稲田は、クラウドファンディングのページに熱い思いを打ち明けています。
自宅で目にする配信映画と異なり、映画館では一時停止もできなければ、スマートフォンも触れないが、小さな箱で映画に没入できるミニシアターの魅力を若い世代にも感じてほしいとも語っています。また、車いすの人でも鑑賞できるように、バリアフリーにも配慮しています。
シネマリスがコンセプトに挙げている「小さくても善いもの」とは、かつて開業予定地の近くにあった、西村伊作や与謝野寛・晶子夫妻らが1921年に創設した「文化学院」の理念です。シネマリスはこの理念に共鳴し、「小さくても善い映画」の提供を目指し、自らも「小さくても善いものでありたい」と願っています。
今回のクラウドファンディングで集まった支援金は、デジタルシネマ映写機やサーバーの導入費用などに充てられます。応援者には金額に応じて、1ドリンク付き鑑賞券やオリジナルグッズ、サブスクリプションの会員権などのリターンがあるそうです。
映画館は街にある、「避難場所」にもなります。暗がりの中で、日常や仕事の憂さをつかの間忘れて、他人の泣き笑いの物語に没頭できる希少な場所です。映画館作りの支援は、「私の」居場所作りに携わることにもなるでしょう。映画館にかける思いを感じ取った人は、ぜひ応援してください。
「神保町・お茶の水エリアにミニシアター『シネマリス』が2025年オープンへ」では、さらに情報を紹介しています。是非チェックしてみてください。
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明治学院大学 経済学部准教授